橈尺骨の骨折 手術
ここ数年最も流行している、トイプードル。
見た目も性格も、ペットとして飼うには十分すぎるほどかわいいのですが。。。
トイプードルと言えば、先日のレッグペルテスの話もそうでしたが、前足(橈骨と尺骨)の骨折もとても多い犬種です。しかも、骨が細く、癒合不全(骨折が治らない)も起きやすく、我々獣医を悩ませる骨折の一つに挙げられます。
ある日の朝、まだ午前の診療が始まる前に飼い主さんが駆け込んできました。
「抱っこしてたら、ぴょんと飛び下りて。そうしたら前足がぶらぶらになっちゃったんです!!!!」
診てみると。。。折れてます 誰が見ても分かるほど。
しかも、その子は生後4カ月。
レントゲン撮影して確認してみると、折れた骨がずれてしまっています。
骨折を治す方法はいろいろとありますが、手術をしないで(ピンやプレートなどを入れないで)外固定(ギブスなど)で治せれば多少曲がっても(もちろん生活に支障がなく見た目も分からない程度です)それが一番。癒合不全などが起きる要因としては、血行障害が一番に考えられます。
そこで飼い主さんと相談。
とりあえず、麻酔をかけて骨折を合わせて外固定を実施。
このまま骨折線が動かなければOKと思いきや。。。そこは、活発なトイプードル、ケージ内での入院生活なのに、3日後には簡単にズレてしまいました。このままではいくら血行温存はできても骨はくっつきません。
再度、メリット・デメリットをお話しさせていただき、
「ここは、内固定に切り替えましょう!!」当初からお話しさせていただいているため、飼い主さんも十分に理解していただき、「やらなきゃだめですね、お願いします」とのお返事。
とはいえ、実際はそんな気楽なもんじゃありません。
何といっても、骨が細い!!!もう少し太ければ迷わずプレートを入れるところでしょうが、一番細いスクリューを打てる許容範囲とほぼ一緒。
仕方がないので、一番細いピンを入れて横ずれを防止することに。
実際に肉眼で見てみると無理すれば簡単にパキっと割れそうな骨です。
このような手術は一発勝負、なんとか合わせて、後はギブスで外固定。
骨の端は成長板(骨の成長する部分)があるので、治り方を見てなるべく早くピンを抜きます。
待つこと3週間、きれいにくっつきました
まだ多少の継続治療が必要ですが、もう大丈夫。
小型犬を飼っていらっしゃる飼い主の方、とにかく折らないように注意してください!
ただただ願うばかりです。