メス犬 膣の巨大腫瘍 膣平滑筋腫 排便困難
ある日の朝、保護した犬・猫の里親探しなどをされているなじみの患者さんからの1本の電話が。
「朝からすいません!!大変な犬がいるんですけど連れて行っていいですか?」
連れてこられた子は、ほとんど動く気力もなくぐったり…
くるまれていたタオルをめくって、全体の状況をみてみると更にビックリ
外陰部からとんでもないものが顔を出しており、肛門を押しのけるように会陰部全体がとてつもない大きさになっていました
保護してくれた患者さんとも相談し、リスクは非常に高いですが
「とにかくこの大きなものをどうにかしないことには今後はない」と判断、手術に踏み切りました。
ただし、私自身も何者なのかある程度予測はできたものの、実際はやってみないとわからない状態でした。
手術すること1時間半…。
血圧の低下があり緊急に薬を投与したりと麻酔管理も決して楽ではなかったですが、
完全に摘出することができ、大急ぎで縫合を終わらせなんとか全てが無事に終了
病理検査の結果は「平滑筋腫」。
基本的には良性に分類される腫瘍です。避妊手術をしておくことで防ぐこともできます。
ここまで大きいのはみたことがないですが、膣の筋肉層から発生する腫瘍で
飼い主さんも気づかないうちに大きく育ってしまうこともしばしばあります。
大きくなることで周辺の臓器を圧迫し、おしっこが出づらくなったり・便が出づらくなったりすることもあります。
この子も、おそらく排便困難があったでしょう。
まあ、とりあえず一山は超えて日に日に元気になってはきたのですが。。。
当初、飢餓状態で手術したため傷はくっつかないは、
くすぶっていたであろう子宮蓄膿症は発症するはで(血液中のタンパクが上昇してきたところで2回目の手術を実施)
山あり谷あり・・・
それでもなんとかすべてクリア!!何しろこの子自体がよくがんばりました!!!
12日間入院して無事に帰宅、後は通院でどうにかなりそうです
平滑筋腫・・・良性といえども侮れない腫瘍です。
追伸
今回いろいろとご心配していただいた方がたくさんいらっしゃると伺っています。
この子にかわって感謝します。
元気になりましたので、優しい里親さんが見つかってくれることを願います。