外科
犬の会陰ヘルニア 膀胱突出 排便・排尿困難 手術
今回は、長年の排便困難をかかえた11歳になるSちゃんの話です。
数年前から会陰ヘルニアの診断をうけていたのですが、
手術をするには難しいとのことで飼い主さんも悩んでいらっしゃいました。
そんな中、最初は1本の電話でした。
「会陰ヘルニアなのですが、便も出づらくて困っているんです」
簡単に病状を伺うと、まさしく会陰ヘルニアそのもの。
飼い主さんは、その後すぐにSちゃんを連れて来院されました。
早速診察させていただくと、便が出づらいこともそうなのですが。
写真:Sちゃんの外観です。右の会陰ヘルニアがひどく肛門は左側に寄ってしまっています。
くわえて、排尿困難もあるとのこと・・・
そこでレントゲン検査を実施。
みごとに膀胱が反転しておしりのヘルニア部分に出ちゃってます。
膀胱は通常なら骨盤の頭側にあるはず、それが肛門の隣に位置しています。
これでは尿道が折れ曲がってしまうために、排尿困難を招きます。
幸いにもSちゃんは元気なのですが、この状態はほおっておけません。
ここは手術の方向で飼い主さんとご相談、了承していただきました。
手術としては、まずお腹を開けて「膀胱固定と結腸固定」+「お尻の会陰ヘルニアの修復」の3つを計画。
ところが・・・・
身体検査をくまなく行うと・・・
心臓の弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)がありました。
追加検査の結果、心雑音はしっかりあるものの病態は軽度でしたので「手術もいける」と判断。
ただし、長時間の麻酔はリスクが高いので手術は2回に分けて行うことに。
まずはお腹の手術、時期を開けてお尻の手術。
2回の手術も無事に終了。
排尿も排便も問題なく出るようになりました
会陰ヘルニア、ひどくなる前に対処することをお勧めします。