外科
メス犬の会陰ヘルニア 膀胱突出 おしっこが出ない
今回は、ほかの病院の先生にご相談を受けた症例です。
犬の会陰ヘルニアと言えば、中年以降のオス犬がほとんどなのですが、
まれにメス犬でもなります。
おつきあいのある先生からのある日の電話で、
「年寄りのメス犬なんだけど、おしっこが出ないんだ!しかもお尻も腫れていて・・・」
「それって珍しいですけど、会陰ヘルニアじゃないですか?」
そんな会話をしつつ、
おしっこが出ないと言うことなので診断がてら病院にお邪魔させていただきました。
早速診させてもらうと、肛門の横が腫れており指で押すと波動感があります。
外陰部からカテーテルを挿入してみると、スムースに入り排尿させることはできました。
幸い、排尿できなくなって時間が経っていなかったため腎臓への負担もほとんどなく
排尿のコントロールはこれでどうにかなりそうです。
しかし、単純のレントゲン写真ではあるはずの位置に膀胱がありません。
はたして膀胱の位置がどこにあって、どうなっているのか知る必要があります。
そこで造影剤注入して確認すると。


膀胱は見事に折れ曲がり、肛門の横に突出しています。
これじゃあ排尿はできません、今まで何事もなかったことがラッキーです。
ここまでわかれば、後は先方の先生と飼い主さんとで話し合ってもらうしかありません。
ただし高齢な子なので、場合によっては膀胱の位置だけ戻す手術で終わりという選択肢もありかと思います?!
女の子(メス犬)の会陰ヘルニア・・・・珍しい症例ですがあります。(ちなみに猫でもあります)
男の子ばかりではありません。先入観は禁物、要注意です。