犬・猫 おしっこが出ない いつ病院へ?
今回のブログはQ&Aなかんじです、前提として、飼い主さんの自己判断は禁物であることを承知してください。
症状がある場合は様子を見るのではなく、動物病院を受診して、獣医師の診察を受けてください。
「先生、おしっこが出ないんですけど」
って、電話での問い合わせがよく来ます。
飼い主さんの言う「おしっこが出ない」にも、実は色々とあります。
症状により緊急性がありそうか?を判断するために、一番最初に聞くのは・・・
「じゃーっと、出たのはいつですか?」
パターン1
「朝はちゃんと出たのですが、その後おしっこの姿勢を何度もしても、ぽたっとしか出ないんです」
これは、頻尿です。
膀胱の中におしっこが貯まってはいないのですが、排尿痛や残尿感などがあるため、何度も何度もおしっこにいきます。が、貯まっていないのでぽたっとしか出ません。緊急性はなさそうですが、頻尿は辛いのでなるべく早く病院で診てもらい、治療を受けてください。
犬の膀胱炎は細菌感染が多いと思いますが、猫の場合は特発性膀胱炎といって、無菌性でストレスにより膀胱炎になることもあります。教科書にはよくストレスの代表はトイレの問題と書かれていますが、原因はそればかりではありません。
頻尿とは、いつもの排尿回数よりも多くなることを言います。
「このところ頻回に排尿する」は多尿とも考えられますので、頻尿とは少し違う病気の可能性があります。
犬における散歩のマーキングはまた違うことですが、それはそれで血が出るほどイキむ子もいますので、問題になります。散歩は犬の好きなようにさせることではありません、トレーニングで改善を目指しましょう。
オス猫の場合、頻尿が続くことでペニスをしつこく舐めてしまうこともあります。そのような行動で、ペニスの先端が腫れてしまい、排尿困難となってしまうこともあります。(怖がらせるようですが、実際にあります)
パターン2
「深夜から、何度も行くんですけど全く出ていないんです。朝になったらなんかちょっと元気も食欲もなくて」
これは、排尿困難です。
何かしら原因があり、おしっこが出せない状況になっています。
様子を見ていい?(見ちゃダメですが)のは、前回の排尿からギリ12時間かな? それでも、急性腎障害のリスクは高いので、とにかく早くが原則です。基礎疾患の有無・急激な進行により亡くなってしまう事もありますので、絶対的な時間ではないことは承知してください。
排尿困難を疑う場合に、次に聞くのが。
「その子は、オスですか?メスですか?」(犬でも猫でも)
「オスです」・・・・
オス犬、オス猫の場合は、尿道が長く出口に近くなるにつれ細くなります。そのため、膀胱結石などがあると、排尿とともに流れてきた結石が尿道を閉塞し、排尿困難を招くことがあります。確率的には一番多い病態です。
その場合の膀胱は、大きく硬くなっているので、ちょうど後ろ足の付け根あたりのお腹を触ると、外からでも触知できることがあります。(大きさは時間の経過に依存します。感覚が分からないからといって、強く押すと、破裂することがありますので、基本的には獣医師に任せましょう。)

写真(オス犬) 星:拡張した膀胱 矢印:尿道を閉塞した結石

写真(オス猫) 星:拡張した膀胱 矢印:尿道を閉塞した結石
先ほども書きましたが、オス猫の場合は、排尿異常によりペニスを執拗に舐め、腫れてしまうことで、より排尿困難が進みます。腫れたペニスの先端からは、カテーテルの挿入が困難なケースも経験します。カテーテルが外尿道口から挿入できないことは、尿道閉塞解除や尿道の病態把握にとって致命的でもあります。実際には、入らなくても排尿のルート確保や調べることは可能ですが、それにはリスクも労力もかかってしまいます。
パターン3(番外編?)
「メスです」・・・
メスの場合は、尿道が短くて太いので、仮に膀胱結石があったとしても結石が尿道に詰まって、排尿困難ということはごく稀です。したがって、長年の経験の中でも、全く出ないということはほぼありません。
ですので、「なんとなく出てはいるのですが・・・明らかに少ないです」などなど・・・
もっとややこしい問題の可能性も頭をよぎります。これは病態が多岐にわたり、細かなものになってくるので、今回は割愛します。
「直ちに、診察を受けてください。」
っとここまでは、一般的なQ&A。ここからはちょっとアドバンス的な話。
排尿異常には、結石ばかりではなく、色々と。

写真(オス犬、尿道造影)矢印:尿道狭窄(炎症により尿道の一部が細くなってしまっています)
この子は、細かな膀胱結石もあったことから、しばしばおしっこが出にくくなってしまったので、手術で尿道の途中に新しく尿道口を作ってあげました。

写真(メス猫)星:拡張した膀胱
この子は数年間、二次診療施設に通い、膀胱の中は菌だらけ、からの抗生物質漬け。そして耐性菌。
こじれた挙句、飼い主さんも悩みに悩み、4年前(7歳)にウチの病院へ。色々話を聞くと、若い頃から日常的に排尿は1日半から長いと2日に一度。
「結局それが原因じゃん」ってことで、やってた治療は全てやめて内科療法。皮膚も痒かったりして、今は今でまた違う問題も出たりして、とはいえ当初よりは落ち着いている感じ。飼い主さんも落ち着いてる感じ。
これからも長い付き合い・・・
排尿までの時間が長くても、急性腎障害にならずに、稀にこんな子もいます。初めて猫を飼った方には、猫ってこんなもん的な感覚に陥る人もいますが、普通は1日2〜3回は出ます。

写真(オス犬)星:拡張した膀胱
この時2歳、そもそも尿もれで来院。調べてみると、出ているのに出ていない。この時の膀胱には150mlほど尿が貯まっていました。その後、手術と内科療法。

写真(オス犬)赤:膀胱 黄:前立腺
この子は、去勢手術もしていなかったので、前立腺肥大が起きていました。前立腺も大きくなれば排尿困難の原因に、違うバージョンの出ているけど出ていない。この子の場合は、排便もイマイチ(会陰ヘルニア)。全て手術で解決。
「おしっこ出ないんですけど」問題は多種多様。
題名には「いつ病院へ?」なんて書きましたが、「すぐ病院へ」が正解です。
なるべく早い方が、問題がこじれずに済む可能性は高いし、解決が早ければ動物たちは幸せです。
すでに、当院で管理している子たちの飼い主さんは、散々私に言われているので、今回のブログは今更感もある話題かもしれません。それでも、突然やってくる問題ですので「今日もおしっこ出てるかな?」を含めた健康状態の観察は今まで通り続けてください。とは言え、大体みなさんすぐに連絡をいただけるので、私としては安心です。
おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com


