猫の慢性腎臓病治療 AIM製剤への期待
猫においてはAIMといわれるタンパクがうまく働かないことで、腎臓病の進行が起きることが解明され、
かれこれ数年前から、なんとか製剤にならないものか?
と開発者の先生をはじめ、我々臨床獣医師、猫の飼い主さん達はずっと待っていました。
私のところには、腎臓病を患って来院してくる猫は非常に多く、5歳・6歳でも腎臓の数値がとんでもなく高い慢性腎臓病なんて子も珍しくありません。
結石がらみであれば、2歳・3歳で尿管閉塞による急性腎障害なんて子も経験します。
昔から、「猫というものは、腎臓病になる動物である」という教えをうけ、経験し、治療にあたってきましたが。
一度悪くなってしまった腎臓は元には戻りませんし、人間のような血液透析で維持するようなことも、動物の医療においては現実的ではありません。無論、腎移植は倫理規定を通りません。
そんな猫の腎臓病に対して、新たな治療薬としてAIM製剤がもうそろそろ?販売されるかもしれません。
すでに、獣医師向けのセミナーや朝の情報番組でも取り上げられています。
現時点では、農林水産省へ申請したところまでは進んでいるようなので、来年?再来年?には承認が期待されています。(この辺りは、お国の仕事なので不明ですが・・・)
さらに、製品となって我々1次診療施設がみんな使えるようになるのは、もう少し先かも。
まあそれでも、進んでいるには進んでいます。
情報によれば、製剤の名前はすでに決まっているようで
「FeliAIM」だそうです。
研究開発の当たっている先生の話によれば、効果はかなり期待ができそう。
あとは臨床現場でどのように使っていくのか?
具体的にどんな効果を経験するのか?
今までの治療は継続しながら、進行が抑制されるのか?予防的に使えるのか?
もちろん全ての子に効果があるのではないでしょう。
新薬にはつきものですが、予想できない副作用もあるのかもしれません。
今現在、腎臓病と懸命に戦っている子たちと飼い主さんを思うと、正直なんとも言えない気持ちですが。なんとか長く生きてくれて、この薬が試せるように祈ります。
進行を食い止めようと内服からアミノ酸サプリメントまで嫌がる子達にも投与してもらい、皮下点滴を懸命に行い、貧血やら高血圧やら、それでも進んでしまう。
末期の尿毒症症状をいかに軽減させてあげられるか?そんな腎臓病治療。
色々な思いや、薬に対する疑問もありますが、新しい薬の登場でこれまでの腎臓病治療が変わるのかもしれません。
うちの居候、リトルも現在13歳半。8歳くらいの時に尿管閉塞を起こし、一時水腎症の状態になりましたが、今のところ腎臓の数値も悪くなく、目が若干白っぽくなってきましたが元気な爺さん。

気ままに過ごしていますが、そのうち腎臓は悪くなってくるのでしょう。もちろん他の病気の可能性もあります。
腎臓病に限らず、色々と基礎研究が進み、今まで解明されなかったことが、わかるように。そして、その結果が治療薬の開発につながる。
応援しています。
我々臨床医とは全く違う、基礎研究の先生方。
毎年行われる獣医腎泌尿器学会では、いつもそんな先生方の賢さに圧倒されます。
今年も新しい情報を得るため、休診をいただいて参加してきます。
おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com



