膀胱腫瘍・尿道腫瘍 移行上皮癌 抗がん剤治療
先日、子犬の頃からみていた子が亡くなりました。
最期は、思いもよらない展開でしたが、15歳まで生きてくれました。
飼い主さんは、子犬の頃から丁寧に育ててくれて、高齢になってからの治療にも前向きで、懸命にお世話をしていただいた15年だったと思います。
10歳くらいからは、尿もれの内科治療や外陰部形成の手術に始まり。
11歳では、燻っていた膀胱内ポリープが急速に増大したので、できてる場所からしてもガンの可能性を疑い、膀胱部分切除で摘出。案の定、移行上皮癌。
その後は、移行上皮癌の治療を開始。膀胱内には腫瘤が再形成され、13歳になる頃には、タイケルブ(ラパチニブ)の投与も開始。亡くなるまでの間、膀胱内腫瘤は増大し多発しましたし、血尿が出ることもしばしばありましたが、転移も含めた癌のコントロールは可能でした。
いつもおとなしく検査を受け入れてくれていましたが、嫌なことをするヒトのことは決して好きではないはず。それでも亡くなる3日前の診察では、私にこっそりとお別れの挨拶をしてくれて、ご自宅で最期の日を迎えました。
また、現在も治療中の移行上皮癌(尿道腫瘍)子は、5歳の時に尿管閉塞による膿腎で私のところに転院。緊急で手術を受け、まずは、命がつながり。その後は、尿路への慢性感染症を抑制するために、再度別の手術。
数年間順調に暮らしていましたが、11歳になった時、突如尿もれが・・・
詳しくみていくと、どうも尿道腫瘍であることが判明。尿もれは徐々に排尿困難となり、もちろんタイケルブ(ラパニチブ)を使用した癌治療とともに、排尿のサポートのために膀胱瘻カテーテルの設置を行うことに。すると、抗がん治療の効果があったようで、徐々に自力で排尿できるまで回復、癌の寛解とはいかないまでも、膀胱瘻カテーテルは除去することができました。現在13歳を迎え、もっぱら私との最近の流行は、診察のたびに手からおやつをもらって上機嫌で帰宅というパターン。
初診の時は10歳までどう生きてもらおうかと、心配しかありませんでしたが、そこはクリア。と思った矢先に癌が見つかった時には私もショック。今までもあんなに苦労してきた子なのに、癌なんて・・・
とはいえ、薬の効果もあって当初の予想とは違ってだいぶ長持ち、これからも1日でも長く飼い主さんと一緒に生活できることを願います。
その他にも、かなり昔になりますが、尿道腫瘍を診断して、何も治療を希望せず(その頃は、今のような薬剤もない時代でした)。膀胱内まで癌は増大しましたが、結局2年くらい生きた子もいました。
とまあ、長く維持できている移行上皮癌もいれば、やはり進行の早い子もいます。進行の早い子は、どうもタイケルブもあわないのか?食欲不振とか出る気がします。飲み始めて割とすぐ出る子もいれば、数ヶ月になるとで始める子も。あくまでも、経験的な話です。
タイケルブの他にも、効果が期待できる薬がありますが、そちらは静脈投与。経口薬であるタイケルブの方が使いやすいので、常に検討はしているのですが、私は今のところ使ったことがありません。

癌の進行は、粘膜面から筋層・漿膜面へ、浸潤により尿管を巻き込み腎臓の流れを悪くさせます(水腎症)。
もちろん付属リンパ節への転移から、肺転移した子も経験したことがあります。
そして何より辛いのが、骨転移。痛みを伴います。だいぶ緩和できるものも使ってはいますが、犬はもちろん飼い主さんも看護が辛そう。どうにかならないものかと、常に思いますが、どうにもならない。
くわえて、癌は治せないなかでの外科対応をどの程度やるのか?排尿困難のルートづくりは積極的に行いますが、だいぶ諦めの悪い私でも、腎臓への障害に関してはいつも悩みます。「諦めずにやってみましょう!」は聞こえはいいですが、慎重な対応が必要です。
また、癌の進行とともに「ちょっと厳しいかも」と伝えることも、獣医としてはしっかりと行うべき。ただ、双方の気持ちを全て背負って、心を救うことはなかなか困難です。
現在は、戦える薬があるので、だいぶ状況が変わったことは事実。
とはいえ古くから、移行上皮癌を扱っている先生方の間では、長持ちするそれがあることは経験済みなはず。進行が早いもの、進行が遅いものが組織検査でわかるようになってくれればと常々願っています。
最先端の獣医学を研究しいる大学や2次診療施設所属の先生!!!
高額な医療機器を駆使した技術の追求もいいのですが、そのあたりもよろしくお願いします。!!!
おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com


