SFTS追記 犬の出産 帝王切開
まずは、悪いお知らせ。
先月のブログでもお知らせしていた、SFTSに関しての続報です。
7月11日発表の情報によると、神奈川県内でSFTS患者(ヒト)の発生が確認され、推定感染地域も神奈川県内であることが判明しました。(幸い、感染発症した方は、快方に向かっているとのことです。)
このことにより、神奈川県内においてSFTSウイルスが存在していることが判明しました。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/sfts.html (神奈川県の情報ページです)
ヒトが感染した場合の致死率は、10〜30%。
犬では40%、猫では60%とされています。
しかも、ペットからヒトへも感染が成立することがわかっています。これは、狂犬病以来の脅威であることを意味しています。そもそも、狂犬病感染とは致死率が違いますが、一定数は亡くなってしまう可能性、真剣に受け止めないといけません。
感染ダニの広がりは、野生動物によるものと推測されています。
ご自身の対策はもちろんのこと、ダニがつく可能性のある場所での犬との遊び方、猫は室内で飼う、など。
今後は、より一層感染対策を意識してください。
悪いお知らせのあとは、幸せなお話。
ブリーダーとお付き合いのある先生方は、出産に関わることがあるかと思いますが、我々の施設では犬や猫の出産に関わることは、数年に一度。とはいえ、数ヶ月前には猫の出産を診ていましたので、今年は珍しくこれで2例目。
やってきたのは、ラブラドールのDちゃん。
まずは、妊娠診断のためにエコーをあてます。すると、元気に拍動している心臓を確認。
その後は、何匹くらい入っているかを知るために、妊娠55日以降でレントゲン撮影。
ちなみに、犬猫の妊娠期間は63日です。
今回は、大型犬ですので、レントゲンで確認すると・・・8匹!!!
まあこれは自分で出産できるでしょ?!なんて、出産前後の対応などを飼い主さんとも話し、「いっぱいいるね」ってしばし談笑。
とはいえ、難産判定の説明を文章にしたものをお渡しして、あとは待つのみ。
ペットの出産は基本的に自宅で行います。
動物病院の出番は、難産の時だけ。怖い先生が自宅にまで来たとなれば、順調な出産の妨げになることもあり得ます。
で、予定日、体温も順調に下がり始めたと連絡をもらい。「無事に生まれますように」とお祈り。
夜中かな?なんて言ってたら、翌朝になり・・・体温も上昇し始めた・・・??
気配なし^^;
「まあ、もう一晩待ってみて、ダメなら明日帝王切開ですね。」
犬は安産なんて言いますが・・・出ない、素振りもない・・・
「やりますか」
帝王切開って、通常行うのは子供の数が少なく、出産までに大きくなり過ぎているようなパターン。
その場合多くても2〜3匹
麻酔がかかっている仔犬を蘇生させるには、準備と人数が必要(理想的には1匹に1人)。
今回は・・・8匹・・・
この日は、日曜日だったこともあり勤務しているスタッフも限られています。
仕方がないので、休日のスタッフにも声をかけて、受付係まで動員して全員参加!!!
お腹を開けて、子宮の一部を切開して、その穴から順番に仔犬を出してくる。
文章にすると簡単ですが、大型犬・・・仔犬もでかい。最後の子が出るまでには結構な時間が経過、長いということは麻酔もかかってる時間が長いということになります。
不安が募りますが、うちの看護師さんたちが一生懸命やってくれて、8匹全員無事。
もちろん、お母さんも無事。

入院もそこそこで、すぐにお母さん業もやってもらわないといけませんので、問題がないかを確認して退院。

難産への対応は基本的に母体救助が優先、仔犬は2番目となります。が、仔犬も全員無事が一番いいに決まっているので、その辺りはマンパワーで乗り切るしかありません。とはいえ、仔犬は助けられなかった経験もあるし、生まれた仔犬が奇形であったなんてこともあります。出産も無事に終わってくれればいいですが、なかなかリスクはつきものです。
休み返上で大変とはいえ、いつも病気のことばかりやっているのが動物病院、出産は無事に終わってくれればみんなが幸せな仕事です。
大きく育ってくれるといいですね!!
おおくぼ動物病院 www.okubo -vet.com

