若い猫の膀胱炎 尿膜管遺残 手術
今回は、ちょっと珍しい病気をご紹介します。
飼い主さんとは、多発性嚢胞腎を患っていた先代の猫からのおつきあい。
その子が亡くなって、しばらく経ったある日・・・
「先生、お久しぶりです」(^ ^)
「また飼っちゃいました!」って、ご夫婦で来院。
「わー!久しぶりですね!!」
「って、いきなり2頭ですか?!」今回は姉弟で2頭飼い(^^;;
「また今後ともよろしくお願いします」なんて言葉を交わして。
しばし、談笑。
で、その子達が育つこと6ヶ月。
まずは、女の子の方から避妊手術。
そして、男の子の方はというと・・・片側の陰睾。
「このまま降りてこないと、お腹開けて探しにいかないといけないね」
なんて、飼い主さんとも相談して。
「じゃあ、少し様子見てもいいですか?」ってことだったので。
そのまま、経過観察。
しばらくは、音沙汰もなく。
私も日々の仕事に追われながら、半分くらい忘れていた頃。
「先生、なんだか膀胱炎みたいなんですけど」って来院。
「膀胱炎?」
こんな若いのに?結石でもあるかな?
なんて、調べてみると。
「なにこれ?!粘膜めっちゃひどいじゃん!」
その膀胱は、飼い主さんが見てもひどいことがわかるようなエコー画像。
まずは、検査に基づいた適切な抗生物質で治療して、
日取りを決めて造影検査しましょうか。
としばし待ってからの検査結果は?
粘膜の状態はだいぶ改善されましたが、膀胱憩室があります(矢印)
造影検査でも。
鳥のくちばしのような、とんがり。
膀胱は袋状に丸いのですが、このような不整があるとそこに細菌感染が起こりやすくなってしまいます。
この変化で年齢的にも、考えられるのが
「尿膜管遺残」
尿膜管とは、胎生期にヘソと膀胱を繋いでいる管(くだ)です。
通常は、出生とともに閉鎖し退縮していきます。
が、何らかの理由で退縮せずに残ってしまう・・・
そんなことから、膀胱の頭側に憩室を作ってしまうケースがあります。
ヒトでは、4つのパターンに分類されていたりします。
と、病気の説明はいいとして。
どうやって治すか?
やっぱり、不整になっている膀胱を部分摘出して綺麗な丸い形に戻してあげます。
「こうなると、去勢の手術だけじゃダメだね」
手術の程度がだいぶ変わりましたが。
飼い主さんも、十分理解してくれて、お願いしますとのこと。
実際に肉眼で観察した膀胱は、漿膜面の炎症性変化もみられ、ポッコリ憩室も。
尿膜管の名残の部分も一緒に切除して、綺麗に整形してあげて・・・
無事終了。
最小範囲で摘出した膀胱壁には、くぼみも観察できます。
そして、術後は消炎剤。
3週間後の診察では、消炎剤も必要ない感じで排尿も良好!
そのかわり、かなりご立腹(^_^;)
いつもは可愛いんですけどね。
大変だったけどBちゃんよかったね!機嫌なおしてね!!
猫にも色々な膀胱炎があります。