小さい犬ってやっぱり大変 水腎症 腎臓摘出
今回、来院したのは。
チワワのCちゃん 10歳。
1.7kg・・・
しかも、都内から。
かかりつけの病院で、偶発的に見つかった左腎臓の水腎症。
そこの病院では治療が困難とのことで、都内の大きな病院へ転院。
その病院では、なぜか。
「このまま、何もせず温存」との診断。
飼い主さんも、心配になって。
ネットで調べて、うちの病院へ。
飼い主さんにとっては、小さな病院でびっくりしたかもしれません(^_^;)
「都内から、遠かったですよねぇ?」
ご家族が辻堂駅を利用してるらしく、お隣茅ヶ崎も馴染みがないわけではないとのこと。
「にしても、遠かったです」
「ですよね~」^^;
そんな、とっかかりの話は置いておいて、早速診断のために検査に入ります。
すると、1.7kgの小さな体に、パンパンの水腎症を伴った左腎臓。
そこから、少し膨らんだ尿管を追っていくと、通常とは違う方向に走行して途切れる。
??
途切れた先には、結石なし。
癒着なのか??
それにしても、なんでこの方向に尿管が???
血液検査では、腎臓の数値は正常値。
腎臓の血液検査項目は主に、BUN、Cre。
これらの項目は、左右の腎臓を100としてその75%がやられないと、
異常値となることはありません。
今回のCちゃんも、左の腎臓は機能していない可能性が高いですが、
75%障害には達していないのでしょう。
右の腎臓は正常な見え方、ちゃんと機能しているのだと考えます。
まあ、ざっと一般的な検査をしたところでは、こんな感じ。
以前のブログにも書きましたが、
機能していない腎臓が、水腎症を伴っていると感染のリスク(膿腎)が生じます。
うまいこと、水腎症の部分がカプセルされていれば感染のリスクはないかもしれませんが、
それは、エコーやレントゲンで判断できません。
なので、基本的なスタンスとしては、「水腎症を伴う機能していない腎臓は摘出する」となります。
今回のCちゃんの場合も、そのような説明を飼い主さんに伝えます。
とはいえ、このままの状況で摘出というわけにもいかないので、
「本当に左腎臓は機能していないのか?」
間接的な検査となりますが、造影検査によって判断します。
CTなどの高価な機械があるわけではないですが、この検査で十分といえば十分だし、
今までも機能していそうな腎臓は問題なく判断できています。
逆にいえば、摘出して腎障害になった症例は幸いに存在していません。
今の時代の獣医学では、こんなスタンス許されるのかわかりませんが・・・
そんな造影検査も終わり、改めて飼い主さんと相談。
・左腎臓は機能していない可能性が高い。
・このままにしておくと膿腎になる可能性も否定できない。
・ただし、なんで尿管が閉塞しているのか?癒着の疑いがあるが開けてみないとわからない。
・摘出はあくまでも膿腎を回避するための予防的な手術とも言える。
・年齢的には今がチャンス。
・血液検査的にはSDMA若干高い、潜在的な腎障害もあるのかも。
このような話を、じっくりと・・・
しばし考えた飼い主さんは、
「先生、お願いします。やってください。」とのこと。
そうと決まれば、いつも手伝ってくれる先生にも声をかけて日程調整。
手術の準備に入ります。
が、
腎臓摘出って、何度やってもなんとなく嫌な手術なのに。
小さい・・・
Cちゃんとても小さい・・・
お腹の中に、大人の手2人分は入らない・・・
いつも手伝ってくれる先生も「ちっちゃいねー」って・・・
そんなこと言っても、やるしかありません。
ので。
いざ、手術。
実際の腎臓は、膀胱みたいにパンパン。
癒着によって尿管は閉塞しており、
その癒着は腎臓周囲にもおよび、摘出するために結紮する血管も丁寧に剥がさないとダメな感じ。
しつこいようですが、Cちゃん小さい・・・
いつもの1.5倍くらいかかりましたが無事に終了。
術後は、腎臓の数値に悪化はなく。
万事順調。
当のCちゃんも、
しっぽ振って、ご飯も食べて。
いい感じ(^ ^)
私のお手製術後服は、嫌みたいで固まっちゃうので中止。
振ってたしっぽも、ご覧の通りしまっちゃって。
飼い主さんも「洋服キライなんです」だって。
ピンク似合っていて、可愛いのに(>_<)
そんな、Cちゃんは数日で退院。
抜糸で来院したときも。
元気一杯。
腎臓の数値も全く問題なし。
一件落着。
あんなに仲良くなったのに
Cちゃんは、ちょっと緊張気味でしたが^^;
飼い主さんは、茅ヶ崎の町を気に入ってくれたみたい。
まあ何にしても、良かったです。