犬や猫の尿管閉塞・水腎症の対応は緊急です。
もうルーティーンの様な病気になっている尿管結石・水腎症(もちろん数は少ないですが犬でも起ります)。
知り合いの開業の先生からの紹介の場合は、その先生から電話があり直接話が出来るのでまだいいのですが。
飼い主さん自身が来院される場合。
かかりつけの病院で診断されて、治療をするものの手に負えず。。。
数日もしくは数週間経って、インターネットで探してウチの病院へ相談に、調べてみるとかなり進行。。。
そんなケースは決して多くはないですが・・・あります。
結石ばかりではなく何らかの問題により尿管が閉塞すると、水腎症(腎臓内に尿が貯留している状態)になります。
今回は水腎症の話をちょっと詳しく書こうと思います。
人間も犬の猫も腎臓は左右2個あります。(2個とも正常に機能して100%)
片方の腎臓が全く機能しなくなっても、もう片方が正常なら50%障害ですので、
BUNやCreと言った腎臓の項目は上昇しません。(一般的に75%障害で上昇してきます)
そのような場合は、症状も出ないことがあるので飼い主さんはもちろん獣医でさえ気がつかないことがあります。
別の病気で検査をしてみると水腎症が偶発的に見つかるパターンがこれです。
このパターンでは、原因は何であれ水腎症の腎臓が機能しているのか機能していないのかを調べる必要があります。
機能を有している水腎症(腎臓)であれば早急に手を打たないとダメ、ほっておくとその腎臓は機能を失っていきます。
機能していない水腎症は、それはそれで感染を起こし膿腎になってしまう可能性が高いので将来的に腎臓摘出をおすすめします。
何れにしてもどうなっているのかを早急に判断することが重要となってきます。
「BUNやCreが上昇していないから大丈夫」そんなこと一切ありません!!
次に、結石などにより尿管の流れが悪くなって水腎症になっているパターン。
これは、ほとんどの子で腎臓の項目が上昇しており、
元気が無い、食欲が無い、といった症状も出ていることが多いので、飼い主さんも獣医もすぐに分かります。
症状も出ているのですから早急に治療を開始しなくてはいけません。(当たり前です)
要は、おしっこが流れないのです。
ただ点滴をしているだけで良くなればいいですが、
良くならなかったときには尿の排泄ルートを確保することが重要です(それをしないと治りません)。
経験的にこのパターンの症例はほとんど初日に手を打つことが多いです。
「水腎症なんだけど、どうしたらいいんでしょう?」と飼い主さんからも獣医さんからも相談を受けますが。
いつも決まってこう言います。
「すぐに対処しましょう。連れてきてください。」
1つの身体に2つしかない腎臓。
一度悪くなってしまうと、もとには戻らない臓器です。
大事にしないといけません。