アメショー 尿管結石 急性腎障害
尿管結石を患って来院される飼い主さんと猫ちゃん。
なんだか、1症例退院してはまた1症例入院と、
ほとんどルーティーンのような治療になっている今日この頃
全部書いてると毎月ブログが「尿管結石」になってしまいそう。
昔はこんなに診ることのなかったのに。。。病気が多いのはやはり困ります。
純血種では、アメショー・スコティッシュ・マンチカン
他の種類に比べて圧倒的に多い気がします。(当院にも・・・)
さて、今回はちょっと前の話になりますが、勉強会などでご一緒している先生の飼い猫。
3歳になるアメショーのSちゃんです。
ある日勉強会でお会いすると・・・
「先生、実はうちの猫が尿管結石なんだけど、ちょっと相談に乗ってもらえない??」
と深刻そうなお顔で・・・
「いつでも大丈夫ですよ!!」
と返事をして、日程を調節し先方の病院へお邪魔しました。
ウチのエコーよりも数倍よく見える最新の機械が入っている病院でしたので、
そちら操作もちょっと楽しみ。(不謹慎で・・・すいません;)
早速経過を伺うと、
2週間前に急に具合が悪く・・・検査してみると急性腎障害が起きており、尿管結石が見つかったとのこと。
今は状態も安定して腎臓の数値も下がってきているようです。
すぐに検査をさせてもらい診てみると。
左尿管に結石がみられました。
今回の症状は、先に閉塞した結石の隙間に小さな結石が詰まったのでしょう。
現状、問題は左の尿管結石です。
右の腎臓は正常に機能しているので大丈夫。
とにかく左の腎臓をいかに長持ちさせるか!!
まだまだ若いネコですので、これから10年生きてもらうには
こちらとしても今何がベストなのか判断が難しいところです。
実際には腎臓内にも結石があるので尿管ステントやSUBシステムの設置が有力候補ですが。。。???
デバイスは絶対ではありませし、先は長いので不具合や耐久性のことを考えると??
更にはちょっと条件的にも無理がある部分も。
(以前のブログを参考に。https://okubo-vet.com/2014/09/18/1590/)
その後何度となく先生(飼い主さん?!)と話し合い。
そんなこんなしていると、再び状態が悪化。
飼い主である先生も、外科手術の必要性を痛感されたようです。
最終的には年齢のことも考えて
今回は尿管切開による結石の摘出のみにとどめることにしました。
閉塞している尿管も内腔は3mm以上ありますし、十分縫合することも可能です。
尿管を露出して、石の直上で切開。
尿管切開部前後の疎通を確認。
かなり細い糸を選択することが多いですが、切開した部分を縫合。
漏れてこないか確認して終了。
手術では、飼い主である先生に助手に入っていただき、手術時間も1時間、無事終了。
ただし、再発のリスクは確実に残ってしまい・・・
一生涯ということで考えれば、今後も外科手術を行う可能性は高いと思われます。
このような結石に対してどのように対応すべきか・・・
デバイスは極力入れたくありません、入れれば生涯にわたって全てのことが解決する訳ではありませんから、
「最後の手段としてとっておきたい」正直そう思ってます。
高価な医療機器の導入も・・・(あれがあれば腎臓内の結石も採れるかも??!)
今回の件はいろいろ考えさせられました。
先生とは長い付き合いになりそうです。