猫の尿管閉塞 手術 尿管ステント設置 後編
前回の続きです。
腎瘻チューブを設置して4日、食欲もでてきたTちゃん。
腎臓の数値もだいぶ改善してきところで、手術のため先方の病院から当院に転院していただき、
飼い主さんと今後について話し合いを行いました。
現在悪さしているのは右の腎臓から落ちてきた結石。それが見事に尿管を閉塞しています。
しかも左の腎臓は低形成、かろうじて機能しているといった状態で全く期待が持てません。
どうにかして右の腎臓を機能回復させてあげないとじり貧になってしまいます。
まずは、尿管内の結石を摘出することが必要となります。
それで終わればそれほど時間もかかることはないのですが、
この子の場合腎臓内にも明らかに結石が(腎切開による結石摘出もリスクがあります)・・・
さらに膀胱内にも(こちらはもちろん摘出します)・・・
要するに常に腎臓から膀胱へと結石が流れているような状態です。
しかもその結石は、言わずも知れたカルシウム。
そうです、今閉塞している結石を摘出したとしても、
運が悪ければ、入院中に腎臓から落ちてきて再発なんてことが起ってもおかしくはないそんな状態なのです。
そこで、結石摘出とあわせて再発予防のための「尿管ステントの設置」をお勧めしました。
飼い主さんもその必要性を理解していただき、「膀胱結石・尿管結石摘出と尿管ステント設置」を希望されました。
尿管切開で結石を摘出、膀胱切開して結石を摘出。尿管の疎通は良好だったためそのままいじらずに。
さあ、ここからが本番中の本番!
まだまだ慣れない手術ですので、正直時間がかかってしまいます。
それでも無事終了、ステントもうまく入りました。
術後は軽度腎不全が残るものの、4日目にはずいぶん食欲も出て一安心。
今回の急性障害の影響もあり腎不全は少し進行しましたが、
抜糸のときにはご機嫌も良く無事に退院となりました。
かかりつけの先生と連携をとりながら今後の経過を見ていかなくてはいけませんが、
しばらくの間はこれでいけると思います。