腎臓・泌尿器
猫の尿管閉塞 手術 腎瘻(じんろう)チューブ 尿管ステント設置 前編
ある日の夕方、診察も終わりそうなそんな時間に
おつきあいのある先生から連絡が、「尿管閉塞の猫がいるんだけど・・・』
送られてきたメールを見ると。。。
エコー写真ではパンパンの水腎症、しかも血液検査では腎臓の項目がどれもOVER(急性腎障害です)。

写真:当院で撮り直したエコー写真です。重度の水腎症を呈しています。
「先生、これ今夜中にどうにかしないといけません。とにかく緊急で尿を体外に出してあげないとダメです」
「このままでは助かりませんから、連れてきてください」
先方の先生が飼い主さんと相談、その日の夜に緊急手術です。

写真:複数の尿管結石と膀胱結石(矢頭)が見えます。閉塞をおこした右の腎臓は大きく腫大し、腎結石も見られます。さらに、左の腎臓は低形成でレントゲンでは見つけられません。
とは言え、こんな状態の猫に長時間の麻酔はかけられません。
結石が1個詰まってるだけならまだしも、このようなパターンの閉塞はすんなり終わらないことも予想され
時間をかけたらかけただけその後の腎臓機能の回復に影響が出てしまいます。
現状を打破するためには尿流確保が第一優先です。
そこで選択した処置が、「腎瘻(じんろう)チューブ設置」。
尿が流れていない右の腎臓に直接チューブを設置して、尿を体外へ排泄させます。
麻酔時間は30分、覚醒も無事に終了。
まずは第一段階、数日間はこの状態で点滴をしながら腎臓機能の回復を待ちます。
機能回復するようなら次のステップに進めます。(時間に余裕をもって閉塞の解除の手術に望めます。)
回復しないようだと・・・難しい状態になってしまいます。
そして、待つこと4日。
もうほとんど正常に近い状態の血液検査結果となり、食欲も少し出てきました。
さあこれからが本番です。
続きは、後編で。