腎臓・泌尿器
犬の膀胱腫瘤(膀胱ポリープ) 膀胱部分切除術 好酸球性膀胱炎
暑さもひと段落して、少し秋っぽくなったある日。
学生時代の先輩の病院から1通のメールが。。。
「犬の膀胱内に腫瘤があるんだけど、相談にのってくれない??」
送られてきたレントゲンとエコー写真を見てみると。
膀胱内の前方(頭側)に大きな腫瘤が・・・・確かにあります。
その子自体は、元気食欲はあるのですが血尿が続いているようで、早急にどうにかしてあげないといけません。
通常、膀胱内の腫瘍(特に移行上皮癌)の場合は、膀胱の出口の付近にできることが多くそこには腎臓から左右尿管が入ってきているため腫瘍のみを摘出することが困難となります。
しかし今回の症例の腫瘤は前方(出口とは反対側)にあるため、膀胱部分切除術(腫瘤ごと膀胱の一部を切除して、元の膀胱の形に縫い直してあげます)が適応となります。
癌だった場合は再発もあるため術後も要注意ですが、一時でも血尿などの症状が緩和されればワンちゃんも苦痛から解放されます。もちろん、炎症性のポリープ(できもの)ということもあるので切除可能ならやはり切り取って病理検査を行い診断したほうがよいと思います。
先方の先生とも何度かやり取りした結果、今回は手術の執刀まで任せていただけるとのことでしたので、道具一式担いでいざ出張手術。。。
腫瘤の根っこは意外と細かったので、膀胱もそれほど広範囲の切除にはならず無事終了。
病理検査の結果は、「好酸球性膀胱炎」・・・ざっくり言うとひどい膀胱炎によるポリープでした。
癌じゃなくて一安心。
今後は、内服をしながら経過観察となりそうです。