犬の椎間板ヘルニア 診断 手術
犬の椎間板ヘルニア、
みなさん一度は聞いたことのある病気だと思います。
ダックスフンドに多いことで有名ですが、そのほかの犬種でも起こります。
椎間板ヘルニアは、症状の重さによって5段階に分けられます(G5が一番重症)。
グレードが高くなればなるほど、残念ながら治療の成績も悪くなってしまいます。
当院でも、毎年何例か椎間板ヘルニアの症例に出会いますが、実際に手術を考えなくてはいけない子はそれほどいません。
そんな中、急に寒くなった頃、後ろ足の異常を訴えA.コッカーのNちゃんが来院。
さっそく診察してみると、両方の後足に麻痺がみられ
なんとか介助すれば起立できるものの不安定で歩くことは困難な状況でした。
神経学的検査、レントゲンなどにより、椎間板ヘルニアの疑いがあります。
椎間板ヘルニアの確定診断には脊椎造影という方法もありますが、「椎間板ヘルニアではない」
ということもあるので、どうせ麻酔をかけるなら断然MRIが有効です。
ただのレントゲン撮影では診断できません。
しかし、MRIを撮るには特別な施設に行ってもらうしかありません。
したがって、まずは疑いをもって内科治療を試してみます。
重症の子は別として、ほとんどの子が薬に反応して改善が見られます。が、
そのままいける子もいれば、そうじゃない子もいるわけで・・・
今回のNちゃんもいいところまではいったのですが、数日治療するものの左足の麻痺が残り
かなりフラフラの状態でうまく歩けませんし、すぐに座り込んでしまいます。
病気グレードとしては低いですが、積極的な治療として外科的なことも考えなくてはいけません。
そこで、確定診断のために飼い主さんにお願いしてMRIを撮影してきてもらい見てみると・・・
椎間板ヘルニア、胸椎13番と腰椎1番の間でかなり脊椎神経が押されていました。
検査結果を見ながら、再度飼い主さんとご相談
脊椎の一部を削り神経を圧迫している椎間板物質をとりのぞく手術を提案しました。(片側椎弓切除術)
ただしこの手術、残念ながら100%治るわけではありません、
さらに言うと、治ったとしてもすぐにすたすた歩き出すわけでもありません(徐々にです)。
正直、やってみないと回復の程度はわからないのです。
Nちゃんの場合麻酔にもリスクがあったため、飼い主さんもかなり悩まれたようですが
「お願いします」とのこと。
さっそく手術です。
何時間もかかることはないのですが、何せ脊髄神経ですのでものすごく気を使います。
麻酔も安定し、無事手術は終了。
今回のNちゃんの場合術後3日目くらいから歩行もしっかりしてきて、
5日目には(以前のような感じにはいかないですが)かなり改善
歩いて退院です。
飼い主さんもNちゃんも笑顔、大成功です