犬の免疫介在性溶血性貧血 IHA
さて、免疫介在性溶血性貧血(IHA)という病気があります。
簡単に言うと・・・
免疫機能が誤作動を起こし、自分の赤血球を攻撃し壊してしまう、非常に厄介な病気です。
程度の差はあるものの、当然のことながら貧血を起こします。
当院でも、年間数例この病気に出会います。 犬も猫も。
約1年前のことです、
数日前にフィラリア予防のため、いつものルンルンな様子で来院していた、T.プードルのAちゃん。
突然元気がないとのこと、早速診察してみると、歯肉も舌の色も真っ白!!重度の貧血!!!
検査の結果、IHAと診断しました。

血液は自己凝集し、赤血球の壊れる速度も速い、IHAでも嫌なパターン
治療開始です!治療費はかかりますが、中途半端なことをやっても助かりません。
病気を理解してくださった飼い主さんも「お願いします」とのこと。
ステロイド、シクロスポリンの投与を開始し免疫機能を抑制、さらに輸血も。
この病気、貧血はもちろんですが、血栓が詰まったりして亡くなることが多いのです。
そのために、低分子へパリン(血を固まりにくくする薬)の投与もします。
それでも、ガンガン赤血球は壊れていきます・・・
最後の頼みの綱、ガンマガード(ヒト免疫グロブリン製剤)の投与、さらに2回目の輸血・・・

集中治療すること数日、なんとか、自己凝集は治まり、壊れる速度も遅くなりましたが、まだまだ手を緩めるわけにはいきません。
免疫誤作動の嵐がおさまるまで、じっと我慢で投薬を続けます。
それでもなんとか、途中に山あり谷ありでしたが、飼い主さんの献身的な看病と理解もあり、いまだ投薬は行っているものの、大きな副作用もなく、かなり減薬も可能になり、いつものルンルンな感じで月に2回ほど来院しています。
よく頑張ってくれました!

しかし、この病気・・・治療に反応せず、亡くなってしまうことも多いのが現状です。
現在、3頭この病気と闘っている子がいます。
なんとか、みんな元気! これからも頑張ろう!!