犬 脊髄梗塞
皆さんがよく耳にする「椎間板ヘルニア」、
椎間板物質(背骨の間のクッション)が飛び出すことで、脊髄(背骨の神経)を圧迫して後ろ足に麻痺を起こしてしまいます。
(首に起これば前足が麻痺となります)
これとよく似た症状を示す病気に、「脊髄梗塞」があります。
症状はやはり麻痺なのですが、椎間板ヘルニアとは少し違う点があげられます。
1.片足のみに麻痺が出る(両足に出ることもありますが・・・その時はちょっと問題です)。
2.痛みをあまり訴えない(多くの症例で見られます)。
3.発症から48時間を超えると症状の悪化が見られない。
大きくこの3点
今回来院した、12歳になるパピヨンのKちゃん。
朝から突然、左の後ろ足のみひどい麻痺が出てしまいました。
レントゲン撮影、神経検査を行うと・・・
どうも第3胸椎~第3腰椎の間に障害がありそうです。
ただし、左足のみ(右足は全く問題ありません)
いつもの椎間板ヘルニアとはちょっと違うなと思いつつ(先入観は禁物です)、まずは点滴で薬を投与しながら24時間様子を見ることに。
翌日、若干昨日よりは力が入るようにはなってますが、麻痺はまだまだひどくうまく歩けません。
飼い主さんと相談
もし椎間板ヘルニアであればすぐに手術で対応、しかし違う病気も考えられるのでとにかく診断のためにMRIを撮ってきてもらうことに。
結果は、脊髄への圧迫は軽度のものがありますが脊髄梗塞が強く疑われました。
こうなると話は別です。運動制限も必要ないですし、数日炎症を抑えるだけであとは見守るのみ。
今回のkちゃんの場合、日に日に麻痺は改善していきました
ただしこの脊髄梗塞、回復しない場合もあります。
だいたい、30日位を境に回復の兆しが見えないとその後の回復は難しいといわれています。
さらに、両足に麻痺が出た場合・・・脊髄軟化症という治療できない病気が併発する可能性もあります。(脊髄軟化症は治療法がなく、そのほとんどの子が亡くなってしまう病気です。)
足の麻痺・・・いろいろですね。