猫 尿管閉塞 水腎症 新しい武器
毎月数例みている、猫の尿管閉塞(水腎症)。
診察時の血液検査数値やその子のコンディション、年齢などに左右されることは当たり前ですが、内科治療で効果が出て、1週間後には改善傾向なんて症例も結構います。
外科介入するか?
方法は色々とあるので、その子の性格なども考慮しながら、病態を見極めて。どうするのがベストか?
明らかに結石1個が閉塞している子は、尿管切開で摘出がいいと思いますが、腎臓内も含めて複数の結石があるなんて子は、デバイスの使用も検討します。
そんなデバイス、かれこれ15年くらい前、
尿管ステントから始まり、
SUBシステム(今ではバージョン3?)、
SUBシステムに類似したURETOL(以前は台湾から輸入していましたが、最近は国内生産になりました)
それぞれメリット・デメリットがあり。何を選ぶかは、獣医師の力量。
そして、最近使っているのが「尿管バイパスチューブ」
恩師が開発に関わっていたので、プロトタイプをもらっていたりはしたのですが、如何せん大学病院などの研究機関ではないウチの病院の立場で、ガンガン試して使っていくわけにもいかないので、様子を見ていたところ、昨年恩師から「使ってるけど問題ないよ」の回答をいただき、いよいよ本格導入。
ここ1年、数例使用しています。
実際に、使ってみた感じも良好。
特に、設置にかかる時間が圧倒的に短く、腎瘻チューブ設置とほぼ変わらない。
重度の高窒素血症時の麻酔は、いかに早く終わらせるか!!
Cre値を基準に総合的な判断とはなり、その辺は肌感覚的なところもありますが、手術はうまくいっても麻酔時間が長ければ、その分腎臓の機能に影響を及ぼすと考えた方が良いです。麻酔専門医ではないで、正確な回答はできませんが、教えと経験はそんな感じ。
なので、片側の腎瘻チューブであれば、麻酔導入から30分以内を目指し、今回紹介する「尿管バイパスチューブ」であれば今のところ、導入から30〜40分で終了できています。
尿管切開だとさすがに1時間前後。ハマればもう少し。
シンプルな構造のデバイスであっても、ポートの固定などもあるので小1時間かかります。
尿管転植(膀胱に繋ぎ直す)なんてやるなら、細かな作業なので「それなりにじっくり腰を据えて」なんて意気込み。
デバイスの使用を前提としないやり方であれば、腎瘻チューブを設置して血液検査の値が改善してから決定的な手術をもう1回となるので、多くは2回の手術を行います。若い子や尿管閉塞の原因がシンプルな子は、このような方法が候補となります。もちろん最初から、尿管切開単独でいけそうな値であれば、迷わずそちらをチョイス。
しかし、腎臓の数値の悪さに加えて、「2回目の手術を行うことができなさそう」なんて子も存在するので、乱暴かもしれませんが、デバイスを短時間で設置してまずは尿の流れるルートを作りつつ、術後の内科療法で腎臓の改善を目指す。そんな時には最適です。
まあそもそも、そのような病態では「諦めず、とにかくやってみる」しかないので、いつも以上のリスクをとりながらの外科介入です。諦めの悪さが発揮されます。
私の頭の中では、このチューブを設置して、その後の状況で原因除去、邪魔になったら抜去なんてことも・・・ヒトの医療みたいな感じもアリなのかも?!なんて。
この1週間で使用している症例は、すべて非常に厳しい状態ばかりでしたので、結果的にもベストなチョイスだったと考えています。(只今、症例重なっています)

最後にもう一度。
基本的には、デバイスは最終手段。
デメリットもあります、入れなくて済むならその方がいいので、全ての尿管閉塞症例に使用するわけではありません。
おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

