犬の子宮蓄膿症ってやっぱり怖い!!
メス犬に起こるポピュラーな病気として、子宮蓄膿症があります。
中年以降の避妊手術(卵巣摘出)をしていない子によくみられます。
私の経験では、4歳という若さで発症した子もいました。
卵巣のホルモンの異常により、子宮内に感染が起こり膿が溜まってしまう病気で、
全身の強い炎症を伴います。
緊急性を要求され、手術により病気になった子宮と卵巣の摘出を行います。
摘出して終われればいいのですが、全身に広がった炎症により、
二次的な血液凝固異常などが起こることもあり、術後は徹底的な内科管理が必要です。
私は幸い経験はないのですが、術後に亡くなってしまう子もいるようです。
そんな子宮蓄膿症。
今回は、他の病院からの頼まれ仕事で手術のみ請け負いました。
主治医の先生とともに来院したその子を診てみると、
外陰部からドバドバ排膿しているので、誰がみても子宮蓄膿症。
念のため手術直前にエコーを当てて、本当に子宮蓄膿症なのか確かめて・・・
間違いありません。
すでに準備は整っているので、そのまま麻酔をかけて、開腹。
大きく膨れ上がった子宮が顔を出します。
ここまでは、いつもの子宮蓄膿症と一緒。
あれ?!
臓器をそっとかき分けると・・・濁った腹水が!!!
「この腹水、やばい。子宮破けたな。」
っと嫌な汗・・・
四の五の言ってる場合ではないので、とにかく摘出。
血圧も低下気味(薬で調整)。
当然、腹膜炎の併発が予想されるので、腹腔内洗浄。
アクティブドレーンも設置して・・・閉腹。
手術は無事に1時間ちょっとで終了しましが、これは後の内科管理が大変そう。
引き継ぐ先生には、緊急薬もすべて渡して逐一連絡を取り合うこととしました。
数日後、術中にサンプリングした腹水と子宮内の膿の細菌培養検査結果が届くと。
やっぱり!!


腹水と子宮内の膿の細菌が同じです。破けていた(おそらく穿孔ですが)証拠です。
今まで数多くの子宮蓄膿症を診てきましたけど、破けるなんて!!
「そんなこともあるのだろう」と想像はしていましたが、初めての経験です。
そんな重体だった当のワンちゃんは、こちらの心配を他所に、翌日から食欲も出て。
ドレーンからの廃液も日増しに減少。
経過は良好のようで、もう少しで退院ですとの報告を受けました。
よかった!!犬って本当に強い。
とは言え、
いやー、「子宮蓄膿症」やっぱり怖い病気です。