犬の脳炎 GME(肉芽腫性髄膜脳炎) 壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎) 治療
問い合わせが多い、脳炎の治療。
前回のブログからずいぶん経過していますので、経験して分かった治療に関しても書こうと思います。
が、それに先立ち、ショートレクチャー。
脳炎治療の基礎知識
- 脳炎には、やられている部位により種類がいくつかあります。
- 現時点では、脳炎の種類によって推奨されている治療法が異なります。
壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)を患って、うちの病院に居候していた黒パグの珊瑚。
先日のブログにも書きましたが、昨年の秋に亡くなりました。
実はこの珊瑚、当初はステロイドとシクロスポリンでコントロールしていたのですが、
何しろ副作用に悩まされ、当時は飼い主さんと「どーするかなー??」って2人で悩んでいました。
もちろん、けいれん発作は起こるので発作を止める薬は続けていましたが、
仕方がないので、免疫抑制系の投薬はやめてみたりして・・・
1歳で発症して、途中死にそうな時もあり。
両目の視力は障害され、右回りしかできず、時々けいれん発作を起こす。。。
それまで経験していたパグ脳炎は、ひどいと1年ももたず亡くなってしまうこともあったので、
この子は本当に脳炎なのか??なんて思った時もありましたが。
最期の1週間は、発作が頻発。麻酔薬で眠る日々。
それでも亡くなる日の夕方にはご飯を食べる時間もあったりして。
頑張って7歳まで生きてくれました。
途中、やりようがなかったので、試しに行っていた免疫抑制療法(シトシンアラビノシド+ステロイド)が、効いたのかは定かではありません。
最近お付き合いのある、脳神経科の先生曰く
「あの治療は、パグ脳炎に効くといったエビデンスがまだないんですよね。論文が出てくれないかな?」って。
今のところは、やはりステロイド+シクロスポリンが主流とされています。壊死性白質脳炎も同じです。
ただし、GMEには効きます(実感として)。しっかりデータもあるようです。
現在、うちの病院で管理しているGMEの子は1頭。
この子の場合は、「おかしいんです」って来院してGMEが濃厚に疑わしかったので、
あえてステロイドも使わずに、先ほど話に出た先生にすぐ連絡を取りしっかりとした診断もつけてもらいました。
その後、ステロイド+シクロスポリンのコンビネーションは一切やらず、最初から現在の治療法。(シトシンアラビノシド+ステロイド)
当初は、視力も障害され姿勢もいまいちうまく保てない感じでしたが、かれこれ、1年半。
1回休薬してもいいんじゃないかって思うくらい。
すこぶる調子がいい!!
飼い主さんとの話し合いで、治療は継続していくことに決定。
副作用が出ることもなく、このまま長くコントロールできることを願います。
片や、友人の病院で管理していた子は、同じ治療をしても数ヶ月しかもたなかったとのこと。
脳炎の治療は、未知数が多いことを感じます。
前回のブログにも書きましたが、何れにしても脳炎はコントロールしていく病気です。
どのくらい保てるか???
そんな病気ですから、
治療を行なっている先生といっぱい話して、悔いのないように。
専門医ではないので、経験値でしか語れませんが、問い合わせがくる皆さんにそう伝えています。