血尿 腎臓からの出血 腎嚢胞(腎のう胞)
血尿が見られると、皆さんびっくりして病院にいらっしゃいます。
かわいがっているワンちゃんや猫ちゃんが、真っ赤なおしっこをするわけですから当然のことです。
そんな血尿。
一般的には、結石の存在や膀胱炎によってみられることが多いのですが…
別の原因もあります。
数年前から当院で見させていただいていた三毛猫のGちゃん
突然血尿が出たとのことで来院されました。
話をよく聞いてみると、元気も食欲もあるのですが。。。
飼い主さんと相談の結果、現状では膀胱炎かどうかは??とにかく治療をして反応を見ることにしました。
待つこと1週間…
見た目の血尿はなくなり良くなったと思いきや、尿検査をしてみると潜血反応がバッチリ見られます。
この1週間の症状を伺ってみると、出血(血尿)の原因は膀胱炎ではない可能性が考えられました。
さらに何もせずに1週間…
やはり尿検査にて潜血反応が見られます。
飼い主さんに採ってきてもらった自然尿でも潜血反応が見られ、
病院で穿刺採尿(エコー下にて膀胱に直接針を刺し一番きれいな尿を採ります)
という方法で採った尿においてもやはり潜血反応が認められました。
こうなると再び肉眼的にも真っ赤な血尿が出る可能性があるため、細かく検査して出血箇所を探ります。
血液検査・レントゲン検査・エコー検査、
膀胱内は全く問題はなく結石の存在もないのですが、
左の腎臓の形がおかしい、エコーで詳しく見てみると大きな嚢胞が2個あることがわかりました。
さらに腎臓の排泄機能を見るため、静脈から造影剤を投与し腎臓と尿管そして膀胱までの尿路をレントゲンで評価しました。
最終的な診断、血尿は左腎臓内の嚢胞からの出血が一番疑わしいということなりました。
ここまでわかれば、飼い主さんもとりあえず一安心。
今後も血尿が見られることもあるかもしれませんが以前のようにびっくりしなくても済みそうです
嚢胞のある左腎臓は全体的な形がいびつになっていますが、現状では腎機能の低下もなく貧血もないため、
経過観察として終了しました。
血尿・・・原因は様々です。
血尿が治まらないなどでお困りの方、お気軽にご相談ください。
<おまけ>
獣医療における尿検査の基本は、穿刺採尿です。
自然排尿での採尿はワンちゃん・猫ちゃんにとって全く負担がない点はよいのですが、
正確な尿の検査はできません(ある程度の参考にはなります)。
膀胱に直接針を刺すのは少し抵抗があるかもしれませんが、ほとんどの子はおとなしくやらせてくれますし
検査後に問題が起きることもきわめて少ないです。