犬 膝蓋骨内方脱臼 手術 後編
先日掲載した前編につづき、
後編では実際に手術した症例についてご紹介しようと思います。
最初は、まだ若いチワワ女の子です。
子犬のころから診察をさせていただいている子で、以前より片側の足のみ膝蓋骨内方脱臼G3(グレード3)の状態でした。この状態のままだと、今後の長い人生(正確には犬生ですが)前編に書いたようなリスクが高くなってしまします。
飼い主さんも病気を理解していただき、今後のリスク回避のために手術を選択されました。
症例レントゲン:▼が膝蓋骨の位置となります(術前⇒術後)
この子の場合はまだ大腿骨の変形(湾曲)を伴っていないため、
一部骨にも細工をしますが、軟部組織への操作を中心に整復することができました。
今後は再発(再びG3になってしまうこと)のチェックをしながら経過観察となります。
次は、シニア世代のチワワの女の子です。
ある日の診察で膝蓋骨内方脱臼G3の診断をしました。
おそらくは、若いころから内方脱臼があったことが予想されました。(ずっとG3 or G2からの進行)
レントゲン検査では、脛骨の内旋があり、大腿骨の変形(湾曲)もみられました。
幸い関節炎は発症していませんが、このままでは筋肉の委縮により(今でも若干伸ばしずらいと思いますが)足が伸ばせなくなり中腰で歩くようになってしまう可能性があります。
飼い主さんにも現状の把握をしていただき、手術となりました。
症例のレントゲン:▼が膝蓋骨の位置となります(術前⇒術後)
この子の場合は、状態が進行していたため脛骨粗面転植術という骨の一部を切る術式を加えました。
先ほどの子よりも術後破行(びっこ)をしている期間が長くなりますが、きちんとした位置に整復できました。
同じG3の場合でも、進行度によってはより積極的な術式で臨まないと整復できないことがあります。
どちらの症例も、激しい痛みや伸展障害(足が伸ばせない)により歩けないというような状態ではありません。
慢性痛からの解放のため、今後のリスク回避のために行う手術となります。
ご質問があればお気軽にご相談ください。