猫の排尿困難 尿道狭窄 手術(会陰尿道瘻)
先月やった仕事なので、鮮明に大変さを覚えているだけなのか?1年を振り返れば大変なことはいくつもあった気がしますが。
締めくくりのブログは、今年一番大変だった?手術の話です。
会陰尿道瘻「えいんにょうどうろう」。要するに、尿道の出口を作り直す手術です。
多くのオス猫において、この手術が適応となるのは、何度も何度も膀胱結石が尿道に詰まって排尿困難に陥る子。しかも、結石のコントロールも困難。
オス猫の場合は、出口に行くにしたがって尿道が細くなっています。骨盤付近の尿道は約3mmのカテーテルが挿入可能ですが、先端は細い子なら1mm。
実際の数字にして文字におこすと、あらためて細さを感じます、が。カテーテルが最初から入るような尿道であれば、難易度は格段に下がります。もちろん、縫合の仕方など気を使う箇所はいくつもあるものの、だいぶ気が楽です。
今のような良いカテーテルもない大昔。本当か嘘かわかりませんが、猫の抜けたヒゲを保管しておいて、尿道に通したとか?都市伝説かもしれません・・・
今回来院したのは、スコテッシュフォールドのRちゃん。
最初は、電話の問い合わせから始まりました。
「先生のところで、会陰尿道瘻の手術は可能でしょうか?」「もちろん可能ですが・・・」
程なくして、来院したRちゃん。
かかりつけの先生のところで、何度か尿道閉塞を解除してもらったのですが、うまくいかず。最終的には、手術を勧められたとのこと。
今は、ポタポタしか排尿が出来ない。
「じゃあ、とりあえず診てみますね」なんて気楽に・・・、いざ尿道口からカテーテルを・・・
「えっ!入んないじゃん」1mmのカテーテルが約1センチのところで進みません。
「じゃあ、石でもあるのかな?」なんて、レントゲンを撮ってみるものの、そんな雰囲気もない。
そこで飼い主さんに、「この子、前の先生はカテーテル入るって言いてました??」
「最初は入っていましたが、今は入らないそうです!」
最初に言ってよ・・・・・(問診しない自分が悪いのですが)
というわけで、尿道造影。
尿道はどうなってるのか??

これは入らないよね(T . T)
尿道の途中は、糸みたいに細くなってます。先ほど、入口1mmなんて書きましたが、想像するにそれ以下ということは分かっていただけるでしょうか?
かろうじて、会陰尿道瘻を作るためには、ギリの場所に正常な太さの尿道はあるようです。が。
「これ、大変です」
「切り上げていく時に、絶対に尿道を見失います」
とはいえ、当のNちゃん。おしっこはポタポタ・・・どうにかしてあげないと・・・
さて、手術。
前日まで、どうやって尿道切り上げるのがベストなのか?
考えまくった結果を、現場で実行。
途中まではうまくいったんだけど・・・やっぱり見失った。
反省点はあるので次回はもっとうまくいく!!あんまり来てほしくはないですが。
見失ったまま、進めていく。
そして、「カテーテル入った!!!!」とはいえ、まだ一番細いやつ。
それを手掛かりに、太い尿道の部分まで開口!!!
心の中でガッツポーズ。
時間かかった。
粘膜なんて使えるところないので、仕方がないから皮膚と直接縫合。かなり食い込むけど、まずはこれでどうか?炎症で再閉塞なんてことがないように、合わせるべきところをしっかりと。
術後の入院も今回はちょっと長く1週間。
そして、退院。
もちろんおしっこは、ジャージャー出る。とはいえ、この時点で出なかったら終わってる。
2週間後の抜糸。
「先生、ジャージャー出てます!」
まだ油断できない
さらに、1ヶ月。
ばっちり!これで大丈夫!!!
飼い主さんも、Nちゃんも笑顔。おしっこ出ないって、辛かったね。

Rちゃん、真顔。入院中はとても仲良くなりましたが、診察台では笑顔じゃないよね。
今年も1年色々ありました、毎年のことですが・・・
来年も初心を忘れずに、精進いたします。
おおくぼ動物病院 www.okubo -vet.com



