トイプードル 前足の骨折(橈尺骨骨折) 手術
うちの病院は、どちらかというと軟部外科が多い病院です。
それでも、忘れた頃に突然やってくる
「骨折」
1歳前後のトイプードル。
落下。
前足プラプラ。
ほぼこのパターン。
もちろん他の犬種も、イタグレ、パピヨン、ポメラニアン・・・ありますが。
ここ数年、ずっと流行ってるトイプードル。
ちょっとした衝撃でも、運が悪いと骨折してしまいます。
特に、前足(橈尺骨)
今回もそれは突然やってきました。
いつもの顔なじみの飼い主さん。
「先生、折れちゃったみたい」
そこには、2キロのトイプー、Aちゃん。
プラプラです。
レントゲンで確認すると。
折れちゃってます。
しばし飼い主さんと顔を見合わせ、みんなでため息・・・
Aちゃんは、小さなトイプーなので、さぞかし骨は細いかと思いきや。
意外と、しっかり。(そうは言っても6mmですが^^;)
仮に骨が極端に細ければ、選ぶスクリューも変わってきますので、専門医へ任せることも想定していましたが、
これならうちで用意している器具で出来そうです。
飼い主さんには「とにかく預かります」と伝え。
手術の準備に入ります。
整形外科に力を入れている病院であれば、使用器具も各種内固定の材料も豊富に揃えているのでしょうが、
残念ながら私のところはそこまでは行っていません。
症例の骨の幅、骨折の位置により、内固定の計画を立てて、
プレートやスクリューを用意するのに3日くらい必要となります。
もちろんその間は、ギブスの様な方法もとってなるべく痛くない様に。
懇意にさせてもらってる整形外科の専門医にも連絡して、治療計画があってるかどうかも確認して。
そして、手術当日。
骨折の手術は、人手も必要です。
術者、助手、器具出しの計3名。もちろんみんな獣医師。
友人たちに声をかけて、手伝いにきてもらい。
さあ、開始。
うまくいきましたぁ!
Aちゃんには、ここ数年主流になってきている、LCPというプレートを使用しています。
手術が終わればあとは、ケージレスト。
昔、お世話になっている整形外科の大ベテランの先生が
「骨折は、手術が2割、後の管理が8割」と言っていたのを思い出しますが。
ここからが、第2ラウンド。
術後のケージレストが、飼い主さんにも負担をかけます。
整形外科の病気は、何しろ体が元気。
術後数日は痛みもあるものの、
その後はもう治ったものだと思ってるのでしょうか?
まあ、元気。「なんでケージに入ってるんだ!!」と言わんばかりの元気っぷり。
1週間ごとのチェックにくるたびに、飼い主さんもお疲れの様子?
しかもトイプードル、飛び跳ねる子がいます。
昔、ケージの中に天井作った記憶もあります。
骨折が治るのには最低6~8週間。
その後、スクリューを間引いたりして、さらに2週間。
途中、ケージから解放されるタイミングもあるものの。
それはそれは、大変です。
今回のAちゃんは、今まさにその大変な時期。
もちろんイレギュラーなことが起きれば、その都度対応しなくてはいけませんし。
ちゃんと治ってくれるか?そこが一番重要。
もう少し時間がかかりそうです。
飼い主さんにも一言しか言えないのです、「頑張ってお世話してください」(>_<)。
子犬を飼ったばかりの方も多いので、お伝えしておきます。
「くれぐれも、落とさない様に」
お願いします。