犬の膀胱結石 シュウ酸カルシウム結石 会陰尿道造瘻術
犬の膀胱内結石のひとつに、シュウ酸カルシウム結石があります。
良く耳にする、ストラバイト(マグネシウムが主成分)結石は、薬や食事でコントロール可能ですが、このシュウ酸カルシウム・・・コントロールができません。
3月のある日、11歳になるパピヨンのPちゃん。
血尿が出るというので、検査をしてみると膀胱内に細かな結石がありました。
この子はオスですので、血尿も心配ですが尿道に結石が詰まってしまうことも心配です。
そこで、手術をして結石を全て取り除き、調べてみると・・・シュウ酸カルシウム
そうです、厄介なあいつです。
そこで、膀胱洗浄を定期的に行い再発の予防に努めます。
そうこうしていると、2か月が過ぎ、毎年私には全然関係ないGWってやつが過ぎたころ。
突然食欲も元気もなくなったとのことで来院。
再度検査してみると、膀胱内に結石が・・・しかも以前よりも多く・・・
発熱もあり、尿に細菌も見られます(のちに判明しますが、耐性菌の感染でした)
即、入院。治療開始です。
最初の抗生物質は効果がなく、系統をかえてトライ。
入院2日目には熱も下がり、少し食欲が出ました、が・・・どうもおしっこの出る様子がおかしい。
詰まってます、完全閉塞ではありませんが、細かな結石が集積して、明らかに尿道閉塞を起こしています。
通常、尿が膀胱内にある時は無菌です。そこに結石が存在することや、尿が余剰して残っていることなどで、感染を起こしやすくなります。このままでは、感染が抑えられません。
そこで提案、会陰尿道瘻造瘻術という方法。要するにメスのように尿道の出口をおしりに作ってあげる方法です。そうすることで、太いまっすぐな尿道が確保でき詰まることはありません。
さらに、以前よりも太いカテーテルが挿入可能になり結石の回収(洗浄)も容易になります。
飼い主さんも同意していただき、早速手術。
この手術なにせ出血が多い、それに加えてPちゃんは小さいパピヨン、術野も当然小さい。

細かな作業をし続け、無事成功。
数日間はカテーテルを入れっぱなしにしていましたが、取り除いてからはジャージャー出ます
今後、細菌との戦いがありますが、
効果のある抗生物質も見つかりとりあえずは、ひと山越えた感じ。
Pちゃん、これからもがんばって戦っていこう!!