犬のアレルギー性皮膚炎 その1
暖かくなると、皮膚の痒みを訴えて来院する犬達が増えます。
皮膚の痒みといってもいろいろとあり、ノミがついたり、細菌が繁殖したり、おもいっきり掻き壊してしまったり、厄介なマラセチアの繁殖、皮膚自体の問題・・・etc
そんな中でも、今日は、アレルギー性皮膚炎について。
アレルギー性皮膚炎には、大きく2つあります。
1.季節によって左右される、アトピー性皮膚炎。
2.食べ物に反応して、年がら年中痒い、食物アレルギー性皮膚炎。
アトピー性皮膚炎は、ハウスダストやカビなどに反応し、それらが増える時期と重なって痒くなります。多くの子たちは、冬にはあまり痒みを訴えません。(反応の程度にもよりますが)
食物アレルギーは、食べ物(主にたんぱく質と炭水化物)に反応して痒くなるので、そのご飯を食べている限り、年中痒がります。
アレルギーの検査というと、以前はアレルゲン特異的IgE検査のみを行っていましたが、これではアトピー性皮膚炎の診断はできても、食物アレルギーの診断は不十分でした。
当院では数年前から、食物アレルギーの診断として、アレルゲン特異的IgE検査と併せてリンパ球の反応を検査しています。
(っというか、以前はこの検査をやっている検査会社がありませんでした。)
食物アレルギーの痒みの70%はリンパ球の反応によるもの、残りの30%がIgE-肥満細胞系の反応によるものと言われています。よって、リンパ球の反応を検査しないと、食物アレルギーの診断はできません。
経験的に、食物アレルギーが痒みの原因である場合、検査をして食事管理を行うとかなりの確率でステロイドを使わなくてもよくなります。
幸い当院で管理している子達のほとんどは食物アレルギーが主体で、そこに軽度~中等度のアトピー性皮膚炎を併発しているパターンが多く見られます。
事実、リンパ球の反応を抑えるほうが、IgEの反応を抑えるよりも、多い量のステロイドが必要です。ただし、重度のアトピー性皮膚炎は違います、これは本当に苦労します。
アレルギーを疑う場合は、一度ご相談ください。
実際の症例は、また後日・・・